月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】
桃子は、ほうっと息をついた。
「………」
……滅んだには、それなりの理由がある。
司が、神祇神宮を『滅んだ』と判断したのなら、俺たちはそれを貫かねばならない。
それは、今を生きる神宮は――流夜と咲桜は、知らなくていい事実だ。
可能性の話、華取在義は二人の家が同じであることには気づくかもしれない。
いや、これ自体なら流夜も気づくだろう。
流夜は人間として、頭の造りが異様だ。
性能が良すぎる、とでも言うのか。
頭のいい奴に加えて、半端ない行動力も伴っている。
そして、あの斎月(いつき)姫の兄だ。
公にされていないからまだ白は知らないけれど、主家の当主である國陽には、恋人がいる。
それが大和斎月。
立場上、と断ってから名乗っているけど、斎月姫にとって流夜は『兄』らしい。