月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】
「無炎(むえん)……お前、見てただろ」
俺が睨みつけると、無炎はからっと笑った。
「大丈夫だって。天音(あまね)には黙っててやるから」
「言えるわけねーだろ! 黒が瞬殺されるわ!」
俺が怒鳴ると、無炎は遠い目をした。
「……そういう風に、何気に黒坊かばうからあいつも懲りねえんだよ」
「あ?」
「なんでもない。それよかさ、俺、黒坊とは身内ってことにしといた方がいい?」
「そうしとけ……。さすがにそこまでツラが似てて関係ありませんは通りにくい」
俺はため息交じりに答える。
そう、黒と無炎は、それこそ兄弟のように似ている。