笑わないシンデレラ
辻くんはニッとイタズラっ子みたいなかわいい顔で笑う。


「早瀬、手だして?」
「えっ?」


私が手を出すと、なぜか彼は自分のしている赤いハチマキを私の腕に巻き始めた。


「辻くん……なにやってるの?」


私、そこに怪我なんてしてないよ?


ぎゅっ……。


えっ……


私の腕を両手で握りしめてきた。
暑さにやられたせいか辻くんの手は暑かった。
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