笑わないシンデレラ
「あのね、亡くなった幼なじみのこと考えると頭痛くなっちゃうの。亡くなった当時のことを思い出しちゃって……」


今でも夢に見ることがある。


車のスピード音とライトの光。
血塗られた真っ赤なワンピース。
消えていく竜ちゃんの顔。


「人を好きになるのが怖い……
もしわたしがその人を愛したらきっと死んじゃう……。」

クリーム色をしたシーツにわたしの水滴が落ちる。


「杏奈ちゃん……。」


優しく、ただ優しくわたしの頭を撫でてくれている梨花ちゃん。
その手はとても優しかった。


「辛かったね、でもね…愛したら死ぬなんてありえないから。」


「杏奈ちゃんはトラウマになってるんだよね。幼なじみが死んじゃったこと。だからそんな風に考えちゃう。
でも考えてみて?杏奈ちゃんと一緒にいて不幸になった人はいる?いないよね?あたしも、春人も杏奈ちゃんと出会って過ごして、毎日楽しくなったの。」


「梨花ちゃん……」


そんな風に思ってくれてたの?


「不幸になるなんて言わないで。あたし、今がすごく楽しいんだから。」


梨花ちゃんの目にも涙が浮かぶ。


「梨花ちゃ……」

わたしの傍にいる人達はどうしてこんなにも、いい人達の集まりなんだろう

ほんとに大好き……。
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