笑わないシンデレラ
「私、やっぱり一歩踏み出せない。竜ちゃんのこと忘れられないの……服まで決められない……竜ちゃんのこと……思い出しちゃう……」


ポタポタ。


私の水滴は出していた赤いワンピースに落ちていき、シミを作っていく。


「早瀬……」

「ごめん、辻くん……今日、パスしていい?服も決められないんじゃ……」

「だったら俺が決めてやるよ。」

「えっ」


涙でぐちゃぐちゃな顔で彼を見上げると、ニッとかっこいい笑顔で笑っていた。
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