笑わないシンデレラ
「私を見てかわいいなんて思う人はいないと思うよ?」

「はぁ。梨花から聞いたけど、マジで無自覚なんだな。」


辻くんは、溜息を吐きながら私の頭に手を置く。


「なっ!無自覚じゃない!」

「はいはい、わかったよ。ちゃんと選びますよ。」


そして-------


「どう?」


彼が選んだ服を着た。


グレーの襟付きワンピース。
地味な色が平凡な私に似合っていて、いいなって思ったけど……


「………」


あ、ダメだった?


彼は私から目を逸らし、無言を貫き通す。


「可愛すぎて困るんだが。」


えっ!


ぱっと辻くんの顔を見ると、みるみる顔を赤に染めて「こっちみんな」と顔を掌で覆った。
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