笑わないシンデレラ
「綺麗だったね。」

「うん。めっちゃ、カップル多かったな」

「クリスマスだもん。」


デートの帰り道、手をつなぎながらイルミネーションの感想を言い合う私と辻くん。


「うわっ!」

びゅう……っと、強い風が吹いてよろける。

「大丈夫か?」
「ありがと。」

ぎゅっと私を支えるように手を握る力を強めてくれた。


さっきまで粉雪だった雪が次第に強まっているのがわかる。

私の家に着く頃には吹雪みたいになっていて、目も開けられないくらい真っ白になった。
< 296 / 311 >

この作品をシェア

pagetop