笑わないシンデレラ
散々迷ったあげく、私が選んだ服装はふんわりした白い純白なワンピース。


携帯を開くと後5分しかないことがわかり、勢いよく部屋から脱出して待ち合わせ場所まで走った。


竜ちゃんは既に到着していて携帯を見ている。


「竜ちゃーん!」


横断歩道を通った先にいる竜ちゃんに大げさに手を振る私。


そして会えたことが嬉しくて、左右確認もせずに横断歩道を飛び出した。


「杏奈!危ない!」

「えっ?」


竜ちゃんが立ち上がって私に向かって怒鳴る。


何のことか理解するのに時間はかからなかった……


キキィーッ……


赤い車が迫ってきて、急ブレーキをかける音が近くで聞こえた。


気付いたら車は私のすぐ傍まで迫ってきていた。



引かれるっ!


避けることもできずにぎゅっと目を瞑る。
< 86 / 311 >

この作品をシェア

pagetop