笑わないシンデレラ
その日は1日深い悲しみに包まれて眠ることなんてできなかった。


「杏奈?」
「何?」

ノックもなしに私の部屋に入ってきたお母さん。

そして封筒を渡された。


「これ、竜くんのママから預かってきたものなの。勇気がなかったら読まなくていいから。」

切ない表情を浮かべ、それだけ言うとお母さんは静かに扉を閉めた。


勇気がなかったら見ない-------
正直、見るのが怖かった。
でも……竜ちゃんからの手紙と聞いてゆっくりその封筒を破いた。


見ないなんて選択肢、今のわたしにはなかった。

見るのが怖かったけどね。
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