樫の木の恋(中)



四人同時に駆け出す。
秀吉殿はひらりと一人の足を引っ掛けつつ、退路を作りくるっと振り向き様に綺麗に一人の首を跳ねる。

一瞬血など出ず、ただ綺麗に頭だけが舞う。

血が出てくる時には、驚いている奴の首をまた跳ね、返し刀でもう一人の首も跳ねた。

残ったのは朝倉景建だけ。朝倉景建は勝てないと即座に判断したのか土下座をして許しを乞う。目には涙を浮かべていた。

「い、命だけは!頼みます!」

「どこまでも恥ずかしい奴だな。もう死んでおけ。」

秀吉殿は静かに、冷たく言い放つ。
ザンッとただ刀を降ろすように秀吉殿は朝倉景建の首をはねた。

秀吉殿は紙を取り出し、血のついた刀をすっと拭く。


周りは皆ただ唖然とその光景をまじまじと見ている。

そりゃそうだ。
片手で首を跳ねるなど、常人では出来ない。

しかも綺麗に首のみを狙うなんて。

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