樫の木の恋(中)


「秀吉、何故斬った?」

大殿はずっと変わらない顔をしていた。
怒っているのか否かも分からない。

「おや?いけませんでしたか?あのような軟弱な考えを持つ奴が嫌いなそれがしに任せたということは、斬ってしまいたかったからでしょう?」

生意気な言い方とも取られかねないこの秀吉殿の発言。
その発言に怒りもせず、大殿は優しい目を向ける。

「ふっ。まぁな。」

珍しく皆の前で笑みを浮かべた大殿に、皆目を見張った。

そしてそのあと柴田殿、明智殿、佐々殿、滝川殿の四人は少しだけ顔を歪めていた。




そのあと府中竜門寺を拠点とし、越前一向一揆を鎮圧するのに時間はかからなかった。


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