樫の木の恋(中)
「案外、半兵衛は、意地悪なんじゃなぁ。そうやって、秀吉殿を、楽しむだなんて。」
腹を抱えて笑い転げている官兵衛が、ようやく口を挟む。しかし笑い過ぎているせいで、息も絶え絶えだ。
「酷いじゃろぉ?」
「ち、違う!それは…だなぁ。」
「半兵衛のやちゅ、きっと今まれも女子をたらしこんでいたんじゃりょうよ。扱いになれておりゅもん。」
べーっと舌を出しながら、こちらの手を避けて三成の周りを回り込む。
「別に慣れてなどおりませんよ。」
逃げ回る秀吉殿を三成が膝の上に乗るよう誘導すると、秀吉殿はあっさりと三成の膝の上に乗った。
「殿。あのような女たらしなど止めて、それがしにしません?」
三成の奴、冗談で言いつつも少しだけ本気が入り交じっているから厄介だ。まだ諦めていなかったのか。
「三成!貴様!」
「んーそうしよっかにゃぁ!」
三成の発言に、冗談で乗る秀吉殿。きゃっきゃっとしている秀吉殿は三成に後ろから抱き締められてる形になっていることに気づいていない。
「三成!秀吉殿を離せって!」
それがしが三成の腕を懸命に秀吉殿から剥がそうとするのに、一層強く抱き締めてしまう。
「きゃーっ!半兵衛怖いー!」
「もう、殿はそれがしのものなので触れないで貰えます?」
三成が秀吉殿のお腹に手を回しながら、秀吉殿の肩に頭を乗せる。