樫の木の恋(中)


官兵衛と、にやついた顔の三成。それと正則と何人かの家臣がそれがしの前に並んだ。

「赤い着物はいつ買いにいかれるのです?」

三成がにやにやと聞いてくる。
正則とその他の家臣は、青い顔をしているというのに、この男はどこまでも肝が座っている。

「三成に教える義理はない。少し黙っておれ。」

「おーこわやこわや。さすが鬼畜…。くくっ。」

「三成、貴様叩き斬ってやろうか。」

こちらが本気で無いからか、三成はにやついた顔をやめようとしない。

「と、とりあえずお前ら罰を覚悟しておけよ!」

秀吉殿がへろへろとした声をようやくと言った感じで絞り出す。

「うぅ…もう恥ずかしくて死にそう…。」

どうやら今日は駄目そうだなと思い、特にやることもないし、秀吉殿には休んで貰うことにした。

きっと罰などすることもなく終わりそうだな。



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