樫の木の恋(中)
「昨日、わしは半兵衛に秀吉を抱けと命令したなぁ?秀吉、勿論命令はこなしたんじゃろうな?」
秀吉殿はばっと顔をあげ、目を見張る。驚き、皆の前だと言うのに顔を赤らめていた。
「お、大殿!そのようなお話、皆の前で」
「ほう、質問に答えぬというなら手酷い罰を用意するが。」
「す、すみませぬ!その…」
謝ったものの、さすがに答えずらいのだろう。一層顔を赤くし、下を向く秀吉殿。
「……抱かれました…。」
大広間が小さくざわめく。
大殿はにやにやとし、楽しい玩具で遊ぶかのような顔をしている。大殿は鬼畜なお人だな、と感心してしまう。
「ほう…して、感想は?」
「えっか、感想でございますか?」
「答えられんというなら…」
「こ、答えます!そ、その…幸せ…でした。」
恥ずかしがりながらそう答える秀吉殿見ていると、近づいて抱き締めたくなる。そんな答えを聞いたら嬉しくて口付けをしたくなってしまう。
「幸せ…のぉ。何をされたんじゃ。」