樫の木の恋(中)


法螺貝が設楽原に鳴り響き、武田軍が攻めてくる。織田家はまだ動かなかった。もう少し引き付けてから一網打尽にしたかったからだ。

「古いよな。今時、鉄砲を使わないなんて。」

武田家は騎馬隊が凄く強かった。だからこそ昔からの手法で騎馬隊で突撃していたのだ。

しかし南蛮物が出回るようになった乱世で、鉄砲を使わないなど考えられなかった。

かといって、鉄砲も万能ではない。
一発撃つとすぐには次の弾は撃てない。だからこそ、三部隊分けて撃つ三段構えという大殿が考えた手法が使われた。

織田家の撃てという合図が辺りに鳴り響いた。

武田家は驚き、混乱しその間に撃たれる。
馬からは次々と人が落ちたり、それを交わしても急斜面となっている丘の上には上がっては来られなかった。

血が飛び交い、武田軍の甲冑が地に臥せる。

早朝から始まり、昼頃には武田軍は壊滅的な状況になっていた。





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