樫の木の恋(中)
小谷城にて一泊するからその準備と、兵糧の準備をしろとの書状が届いていた。
秀吉殿は急いで準備をし、兵糧を用意させていた。
大殿が軍を率いて小谷城にて秀吉殿と合流する。
小谷城にて一泊し、次の日には敦賀城に泊まってから次の日には越前一向一揆を潰す予定だった。
何故今回潰すことになったかというと、本願寺の連中が支配していたのだが、厳しい年貢などに民の不満が爆発したのだ。
内部分裂をした越前一向一揆を潰すいい機会となった。
小谷城に大殿が率いてくるよりも前についていた我らは久々の小谷城でゆっくりと待っていた。
「んー…嫌じゃなぁ。」
「何がです?」
いきなり秀吉殿が座っていたそれがしを後ろから首に腕を回して抱きつき、子供のように口を尖らせる。
「大殿と顔を合わせるのが気不味い…。」
岡崎城の一件以来、大殿と秀吉殿はまともに顔を合わせていなかった。
岡崎城から帰る間も大殿は普通にしていながらもどこか秀吉殿を遠ざけていた。
秀吉殿もそれに気づいていて、此度の要請で顔を合わせなければいけないことを気に病んでいた。