校舎の裏の桜の木の下で
目が合えば
和奈side
4月といえば新学期で、クラス替え
新しいクラスで新しい一年を過ごしていくわけだが、何度経験してもやはりクラス替えには慣れない
毎回もう決まってしまったクラス表を見る前から神に祈りを捧げている生徒がちらほら・・・
私もその1人で熱心に同じことを口ずさむ
誰にでも同じクラスになりたい人はいるのではないだろうか
仲のいい友人、クラスの人気者、校内一の美少女、そして
好きな人
私にも毎年同じクラスになりたい人がいた
「咲田(さきた)と同じクラスになれますように」
毎年同じことを繰り返す結果、好きになってからこの願いが叶ったことはない
神様はそう簡単に願いを叶えてくれるほど甘くはないらしい
むしろ叶わないことがあたりまえになってしまっていた
クラスは6クラス
たった6分の1の確率ですら私の恋は報われなかった
そして気付けば私の中学時代は3年目を迎えようとしていた
何年も、前に進めないまま終わってしまいそうだった
「和奈!やったじゃん!咲田と同じクラスだよ!!」
友達の控えめなはしゃぎ声が私の中に響いた
それは私のこの1年間の中の1番最初の奇跡
中学最後の年、春
私、北川和奈は、ずっと片思いを続けていた幼なじみの咲田一樹と同じクラスになった