あの舞台を見に行こう


ーーーザワザワ


入学式の後、自分のクラスで軽く自己紹介を終わらせて今日の授業は終わりらしい。

「えー!?○○中学からきたの?随分遠いねー!」
「俺は○○中だよ!」


教室の中でワイワイと皆が話しているなか、私は窓からグラウンドを眺めていた。


(グラウンド…見に行こうかな)


先ほど授業の終わりに担任の先生が
「今日は通常の学校とは違って、新入生以外は休校らしいので見学は自由だ」
と言っていたのを思い出し私は鞄を手に取った。


「あ!あの!」

席を立って1歩踏み出した途端、後ろから誰かに話しかけられた。

『ん?どうかした?』


声をかけたと思われる人は茶髪の顔立ちのいい男の子だった。


「あ、えっと、俺!東城秀明って言うんだ。」

『あぁ、私は野々宮澪です。よろしくね。』


サッと差し出された手に自分の手を重ねて軽く握る。

『じゃあまたね、東城くん。』


自己紹介を終えた彼に手を振り教室を後にした。


(それにしても…ゴツゴツした手だったなぁ)


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