白雪と赤い薔薇
「おはよう」

リビングに行くと母が朝食を作っていた。

「あら、早いのね」

「今日からテストだから。
早めに行かなきゃいけないの」

私は母と二人暮らし。
父は幼少期に行方不明になったっきり。
母も父の話をするのをやめた。
祖母は5年前に亡くなった。
祖母はずっと妖怪の話をしてくれた。


新聞に目をやると、「妖怪」と見出しに書いてある。

「ねえ、お母さん。妖怪が事件起こしたって」

「あんたもうやめなさい、妖怪に興味を持つの」

「…はーい」

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