恋蛍2~トワイライト色の約束~
「結弦くん、弟さんおるんやろ?」
外見は明らかに口数の少ない大人しそうな感じなのに、意外とおしゃべりだった。
「はさ! えー? なんで知りよるか?」
「前にな、葵おばちゃんから聞いたことあるから。診療所の院長先生に息子がおって、うちと同い年やって」
「えー! 葵先生、いらんこと話してないだろうね」
それで、びっくりするくらいよく笑う子だった。
「いらんこと? なにか言われてマズイ秘密でもあるん?」
「いやー、そういうわけじゃないけどさあー」
だから、ますます不思議でたまらなかった。
さっきのあの悪魔みたいに冷たい色の目をしたいろはは、見間違いだったのかもしれん。
「それにしても、海。えらい綺麗やねえー。日本じゃないみたい」
「ああ、夕方は特に綺麗さ。引っ越し落ち着きよったら、行ってみるかね? でーじ綺麗だよ」
「結弦くん、一緒に行ってくれはるの?」
こんなに明るい子が、なんであんな目をしよったのか。
「いいよ。どうせ毎日ヒマだしさ」
「おおきに!」
会話を弾ませながらも、オレはそれが気掛かりで仕方なかった。
診療所をあとにして、サトウキビ畑を抜け、デイゴの大木の下のバス停を横切り、集落に入ったころには太陽がまた少し高い位置に昇っていた。
「いーやあっ、まじで暑いねぇ、今日は」
集落を緩やかに吹き抜けて行く夏至南風がせめてもの救いだ。
これで風がなかったらまさに灼熱だ。
外見は明らかに口数の少ない大人しそうな感じなのに、意外とおしゃべりだった。
「はさ! えー? なんで知りよるか?」
「前にな、葵おばちゃんから聞いたことあるから。診療所の院長先生に息子がおって、うちと同い年やって」
「えー! 葵先生、いらんこと話してないだろうね」
それで、びっくりするくらいよく笑う子だった。
「いらんこと? なにか言われてマズイ秘密でもあるん?」
「いやー、そういうわけじゃないけどさあー」
だから、ますます不思議でたまらなかった。
さっきのあの悪魔みたいに冷たい色の目をしたいろはは、見間違いだったのかもしれん。
「それにしても、海。えらい綺麗やねえー。日本じゃないみたい」
「ああ、夕方は特に綺麗さ。引っ越し落ち着きよったら、行ってみるかね? でーじ綺麗だよ」
「結弦くん、一緒に行ってくれはるの?」
こんなに明るい子が、なんであんな目をしよったのか。
「いいよ。どうせ毎日ヒマだしさ」
「おおきに!」
会話を弾ませながらも、オレはそれが気掛かりで仕方なかった。
診療所をあとにして、サトウキビ畑を抜け、デイゴの大木の下のバス停を横切り、集落に入ったころには太陽がまた少し高い位置に昇っていた。
「いーやあっ、まじで暑いねぇ、今日は」
集落を緩やかに吹き抜けて行く夏至南風がせめてもの救いだ。
これで風がなかったらまさに灼熱だ。