恋蛍2~トワイライト色の約束~
食卓テーブルにはトーストに半熟たまごの目玉焼き、海ブドウのサラダ、冷たいミルクが並べて置かれている。
起き抜けで喉がカラカラだったオレは自分の席に座って、ミルクをぐびっと飲んだ。
「お母さん、兄ィニィ起こしてきちゃん」
キッチンに飛び込んで行った翔琉が赤色のエプロンにひっ付くと、「ありがとう」とその頭を撫でて振り向いた母さんと目が合った。
「おはよう、結弦」
「おはよう」
「ねえ、結弦。急で悪いんだけど朝ごはん終わったら、ちょっと頼まれてくれない?」
と、キッチンからいそいそと出て来た母さんは食卓テーブルの上に八重山藍染の風呂敷を広げ、その上に3段の重箱弁当をドンと置き、手際よく包み始めた。
「これ、お父さんに届けて」
「えーっ! なんでさーっ!」
あからさまにウゲーとでっかい声を出すと、母さんの横で翔琉が小さな肩をびくっと弾ませた。
「オレ、今日や律と約束あるんだしさあ!」
と、言っても昼頃の約束だけど。
「診療所に行っとったら遅くなってしまうしさ! 母さんが行けばいいさ!」
ブーブー文句をたれるオレには脇目もくれず、母さんは再びキッチンへ戻り、せっせと片しながら言い返して来た。
「母さん、これから民宿に行って、おばあちゃんたちの手伝いすることになったのよ」
翔琉もキッチンに行って、金魚のフンみたいに母さんの周りをうろちょろしている。
「えー、なんでね?」
「今朝からフェリー動いてるんだって」
起き抜けで喉がカラカラだったオレは自分の席に座って、ミルクをぐびっと飲んだ。
「お母さん、兄ィニィ起こしてきちゃん」
キッチンに飛び込んで行った翔琉が赤色のエプロンにひっ付くと、「ありがとう」とその頭を撫でて振り向いた母さんと目が合った。
「おはよう、結弦」
「おはよう」
「ねえ、結弦。急で悪いんだけど朝ごはん終わったら、ちょっと頼まれてくれない?」
と、キッチンからいそいそと出て来た母さんは食卓テーブルの上に八重山藍染の風呂敷を広げ、その上に3段の重箱弁当をドンと置き、手際よく包み始めた。
「これ、お父さんに届けて」
「えーっ! なんでさーっ!」
あからさまにウゲーとでっかい声を出すと、母さんの横で翔琉が小さな肩をびくっと弾ませた。
「オレ、今日や律と約束あるんだしさあ!」
と、言っても昼頃の約束だけど。
「診療所に行っとったら遅くなってしまうしさ! 母さんが行けばいいさ!」
ブーブー文句をたれるオレには脇目もくれず、母さんは再びキッチンへ戻り、せっせと片しながら言い返して来た。
「母さん、これから民宿に行って、おばあちゃんたちの手伝いすることになったのよ」
翔琉もキッチンに行って、金魚のフンみたいに母さんの周りをうろちょろしている。
「えー、なんでね?」
「今朝からフェリー動いてるんだって」