守神様の想い人
1
「ねぇ、サァラのお母さん、今日は長老に呼ばれてたよ。そろそろ贄を決めるっていってたじゃない?まさか、サァラじゃないよね?」
幼なじみのヨシュが泣きそうな顔で、畑から帰ろうとしていた私の袖をひっつかんで言った。
「えっ!?」
私が青ざめて家まで走って帰ると、家の中では母と姉が肩を抱き合って泣いていた。
「お母さん………?リジュア?」
声をかけると、母が泣きながら私のほうを振り向き、小さな声で呟くように言った。
「サァラ………、リジュアが………、贄に………、、、」
そう言って、また、泣きだした。
「そ、そんな………!?」
気がつけば私は外へ飛び出し長老の家に向かって走り出していた。
長老の家に着くと、ガイルが長老に頭を下げていた。
「お願いです。リジュアは………、リジュアを贄にしないでください!」
長老は険しい顔で黙ったままだ。
近くへ寄ると、ガイルが気づいた。
「サァラ………。」
「長老………、どうしてリジュアが選ばれたんですか?リジュアはもう、ガイルとの結婚が決まっているのにっ?!」
長老は黙ったままうつむいて、ガイルもガックリと頭を垂れた。
「すまん………、ガイル、サァラ………。贄を出したくないのはどの家も同じじゃ。公平に決めたら、リジュアになってしもうたのじゃ………。」
「………………。」
公平に………とは、贄に相応しい年頃の娘の中から長老がくじを引いたということだ。
「長老………。」
「このまま日照りが続けば皆が飢えてしまう。贄を差し出さんことにはどうにもならんのだ。」
長老が皆の事を大事に思っているのは知っている。長老だって苦しいのだ。
「長老………。私が、………………贄になる。」
「なっ!何を言ってるんだ?!」
ガイルが叫んだ。
「そんなこと、リジュアだって望まない!」
確かにそうだ。リジュアなら、そうだろう。
だけど………。
リジュアとガイルが引き裂かれるのを見てはいられない。
「サァラ………、本気で言っとるのか?」
長老がしわがれた声で訊いてきた。
「本気です。私でもいいですよね?」
「どのみち、お前達の母親であるミアには辛かろうが………。」
それを承認の意味ととって、私はまた家へと走りだした。
後ろからガイルも、長老の家から飛び出て走ってきた。
「待てよ!サァラ!」
「これでいいのよ。」
私は止まらず家に着いた。
入ると、母とリジュアはうなだれて座っていた。
「お母さん、リジュア。私が行く。」
二人は意味がわからないようで、力の入らない瞳をこちらへ向ける。
「私が贄になる。」
とたんに二人は目を見開いた。
「な、なにを言うのよ、サァラ!やめて!」
リジュアが怒った様子で言う。
「でも、リジュアにはガイルがいる。お願い。」
「そんなこと!許せるわけないでしょ!だめ!」
リジュアは目からポロポロと大きな涙を落としながら私を睨んだ。
すると、
「リジュア………、ガイルと一緒にいなさい。」
それまで黙って聞いていた母が言い出した。
「お母さんまで何を言うの?サァラはまだ18なのよ!?」
顔を向けてリジュアが叫んだ。
「一人では行かせない。私も行く。」
母が言った。
「ええっ!?」
私もリジュアも、後から来たガイルも叫んだ。
リジュアとガイルはさんざん反対したけれど、母の意思はかたく、結局、私を贄として、母も着いていくことになった。
幼なじみのヨシュが泣きそうな顔で、畑から帰ろうとしていた私の袖をひっつかんで言った。
「えっ!?」
私が青ざめて家まで走って帰ると、家の中では母と姉が肩を抱き合って泣いていた。
「お母さん………?リジュア?」
声をかけると、母が泣きながら私のほうを振り向き、小さな声で呟くように言った。
「サァラ………、リジュアが………、贄に………、、、」
そう言って、また、泣きだした。
「そ、そんな………!?」
気がつけば私は外へ飛び出し長老の家に向かって走り出していた。
長老の家に着くと、ガイルが長老に頭を下げていた。
「お願いです。リジュアは………、リジュアを贄にしないでください!」
長老は険しい顔で黙ったままだ。
近くへ寄ると、ガイルが気づいた。
「サァラ………。」
「長老………、どうしてリジュアが選ばれたんですか?リジュアはもう、ガイルとの結婚が決まっているのにっ?!」
長老は黙ったままうつむいて、ガイルもガックリと頭を垂れた。
「すまん………、ガイル、サァラ………。贄を出したくないのはどの家も同じじゃ。公平に決めたら、リジュアになってしもうたのじゃ………。」
「………………。」
公平に………とは、贄に相応しい年頃の娘の中から長老がくじを引いたということだ。
「長老………。」
「このまま日照りが続けば皆が飢えてしまう。贄を差し出さんことにはどうにもならんのだ。」
長老が皆の事を大事に思っているのは知っている。長老だって苦しいのだ。
「長老………。私が、………………贄になる。」
「なっ!何を言ってるんだ?!」
ガイルが叫んだ。
「そんなこと、リジュアだって望まない!」
確かにそうだ。リジュアなら、そうだろう。
だけど………。
リジュアとガイルが引き裂かれるのを見てはいられない。
「サァラ………、本気で言っとるのか?」
長老がしわがれた声で訊いてきた。
「本気です。私でもいいですよね?」
「どのみち、お前達の母親であるミアには辛かろうが………。」
それを承認の意味ととって、私はまた家へと走りだした。
後ろからガイルも、長老の家から飛び出て走ってきた。
「待てよ!サァラ!」
「これでいいのよ。」
私は止まらず家に着いた。
入ると、母とリジュアはうなだれて座っていた。
「お母さん、リジュア。私が行く。」
二人は意味がわからないようで、力の入らない瞳をこちらへ向ける。
「私が贄になる。」
とたんに二人は目を見開いた。
「な、なにを言うのよ、サァラ!やめて!」
リジュアが怒った様子で言う。
「でも、リジュアにはガイルがいる。お願い。」
「そんなこと!許せるわけないでしょ!だめ!」
リジュアは目からポロポロと大きな涙を落としながら私を睨んだ。
すると、
「リジュア………、ガイルと一緒にいなさい。」
それまで黙って聞いていた母が言い出した。
「お母さんまで何を言うの?サァラはまだ18なのよ!?」
顔を向けてリジュアが叫んだ。
「一人では行かせない。私も行く。」
母が言った。
「ええっ!?」
私もリジュアも、後から来たガイルも叫んだ。
リジュアとガイルはさんざん反対したけれど、母の意思はかたく、結局、私を贄として、母も着いていくことになった。
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