御曹司を探してみたら
(あの野郎……!!)
あの男に対する信用なんて既にあってないようなものだけれど、ますます不信感が募る。
……ただの悪戯にしては手が込みすぎている。
(目的は……何なの?)
むむっと口を真一文字に引き結び腕組みをするが、私にはちっとも目星がつかなかった。
そうこうしているうちに、武久の難しい話がまた始まった。
「周防建設の上層部は今、ふたつに割れている。親父を支持する社長派と、現場から叩き上げでその地位についた副社長派に」
「はあ……」
私のような一般の平社員には関係なさそうなお話ですこと……。
「社長派、副社長派のそれぞれが別々の後継者を擁立している。それが俺と田辺だ」
えっと……。
「つまり……武久と田辺さんは敵同士ってことなの?」
写真を送ったのは同じ後継者候補である武久に対する嫌がらせってとこだろうか。
「そんなに単純な話じゃねーよ」
武久は心底嫌そうに頭を抱えながら言った。
「田辺は俺の姉貴の婿養子なんだよ」
「え――――――っ!?」
姉貴!?婿養子!?そんなの初耳だ!!