御曹司を探してみたら

「武久ってお姉さんがいたの!?」

「驚くのはそっちじゃねえだろう……!!」

「いや、だって……」

田辺さんは後継ぎ候補のライバルで。

不倫上等のゲス男にしてやり手の超エリートで。

その上、武久の義理のお兄さんでもあって……。

(うわあ……)

身内同士でひとつしかない次期社長の椅子を奪い合っているというわけか。

道理でただの顔見知りにしては仲悪いなあっと思ったんだよね。

ホテルで対面した時、二人の間には一触即発のピリリとした雰囲気を感じた。

「あんたも苦労しているのね……」

もし表立って田辺さんと戦う日がきたら、私は武久の味方になるからね!!

「他人事みたいに言ってる場合じゃねーぞ」

「……へ?」

話の矛先が急にこちらに向けられ、箸をくわえたまま手を止めてしまう。

「俺の見立てが正しければ、お前は近いうちにクビだ。」

武久は私以上のお行儀の悪さで、箸をこちらにビシっと向けた。

クビですって!?

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