御曹司を探してみたら
8.嵐、到来!!

“俺が何とかする”なんてカッコつけて言うから大人しくしていたものの、その後武久からは何の続報もなかった。

仕事から帰る途中や、ふとした瞬間に“無料セコム”ことお目付け役の気配を感じることはあっても、その他はいたって平穏そのものだった。

いつクビを宣告されるのかそわそわしながら仕事をしていたわけだが、エックスデーはやってくる気配はついぞない。

(……武久の奴、散々脅して!!)

万が一の時にとデスクの中にこっそり用意していた辞表はどうやら無駄になりそうだ。

私はクビを回避できたことを手放しで喜んでいた。

しかし、エックスデーの代わりにとんでもないものが襲来することになるとは予想だにしていなかったのである。

< 105 / 264 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop