御曹司を探してみたら
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周防建設の歴史は、明治初期に木材加工を目的とした工場を開設したことから始まる。
当初は社員数も数人しかいない小さな町工場にすぎなかったが、いくつかの戦争や震災といった時代の波を追い風に業績を伸ばし続け、現在ではグループ企業数百社を率いる大企業へと成長を遂げた。
今や日本の建設業の一翼を担う周防建設の長い歴史の中で、最もその発展に寄与したと言われているのが、先代の周防忠雄氏だ。
残念ながら忠雄氏は10年前に惜しまれつつもこの世を去ったわけだが、未だにその影響力は絶大であり、ひょっとすると現社長である義彦氏の人望を上回っているかもしれない。
しかし、そんな気宇壮大な忠雄氏にも唯一、弱点があるもので、存命中は妻である福子夫人には一切頭が上がらなかったらしい……。