御曹司を探してみたら
2.灯台下暗しとはこのこと

(うう、あったまいったい……)

最悪の出来事から一夜明け、私は二日酔いによる頭痛と吐き気に思い切り悩まされていた。

ヤケ酒の次の日はいつもこうである。

翌日が辛いと分かっていても飲まずにはいられないんだから失恋って性質が悪い。

洗濯機のようにゴワンゴワンと大きく揺れている頭を押さえながら、懸命にディスプレイを睨んでいるとポンと肩を叩かれた。

「はい、これあげるわ」

悶えている私を見かねたのか隣のデスクに座る同期の飯塚和歌、通称わかっちが二日酔いに効くという錠剤と水をくれた。

「また、振られたんでしょ?」

「そうでーす……」

さすが、わかっち。察しの通りである。

長い付き合いだけあって私の事なら何でもお見通しだ。

「武久かわいそー。また杏の被害に遭ったのね」

わかっちはカタカタと小気味良くキーボードをたたきながら、この場にいない武久へ哀れみの言葉を述べた。


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