御曹司を探してみたら
9.不都合な真実
「ふ、不動産屋に電話!!」
慌てふためいて不動産屋に連絡をとろうとした私を武久が制した。
「無駄だろ。どうせばーさんが手を回してるに決まってる」
何ですと……!?
武久は既に諦めの境地に達しているのか、ソファに寝転がってテレビを見始めた。
さすが、実の孫。
福子夫人の普段のやり方を熟知しているのか驚きもせず、リモコンでチャンネルを変えながら平然と言うのであった。
「俺はベッドで寝るから、お前はソファで寝ろよ」
ちょっとちょっと!!
「……普通逆じゃない?」
「俺のベッドに俺が寝て何が悪い?」
当然の権利を主張したまでと、ジロリと睨まれてしまった。
住み慣れたアパートを無理やり追い出されたこちらの身にもなれ!!
か弱い乙女にベッドで寝てもらおうって労わりの精神はないのか、鬼!!
「じゃんけんで決めよ!!」
……こうなったら意地でもベッドで寝てやる。
最初はグーの掛け声とともに互いに右手を出し、じゃんけんぽんの合図で再度拳を前に振り下ろす。
武久はチョキ。私はグー。