御曹司を探してみたら

「鈍すぎなんだよ……!!」

「な……っ!!」

一度ならず二度までも勝手にキスしてきたのはそっちでしょ!?なんで私が責められなきゃいけないの!?

「……好きだって言い出せなくて気づいたら5年も経ってた」

条件反射のような反論は、武久の消え入りそうな告白の前に霧散していった。

(好きって……)

武久が?私を?

武久は一番親しい同期で悪友で、周防の御曹司で、入社前から私を知っていて、ゲス野郎の魔の手から助けてくれて……。

これまでのあれもこれも全部、私のことが好きだったから……?

そう思うとにわかに動悸が激しくなっていく。

(なにこれ……どうしよう……)

何か言うべきなのに、胸がいっぱいで何も言えなくなってしまった。

だって、今まで一度も武久が私のことを好きだなんて考えたことなかったんだもん!!


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