御曹司を探してみたら
「ちょっと待ってください……!!私っ!!結婚なんて!!」
一緒に生活するだけでいっぱいいっぱいなのに、結婚だなんてとんでもない!!
私は羞恥で顔を真っ赤にしながら、プルプルと顔を左右に振った。
「よく考えてみて?永輝が周防建設にいた方があなたにとっても都合が良いのではなくって?御曹司と結婚なんて女性の憧れそのものじゃない?」
私は先ほどとは別の意味……羞恥で顔を真っ赤にした。
……さすが福子夫人。
どこからか情報を得ていたのか、私の長年の願望を承知の上で結婚をチラつかせている。
つまり、理想の結婚を餌に懐柔出来る人間だって思われているのだ。
「あの……福子夫人のおっしゃることはごもっともだと思います。私は……本当にバカで浅はかで……。憧れと恋をごっちゃにして、突っ走っていたこともありました。でも、やっと分かったんです」
自分でも認めたくないけれど、私は本当に痛々しい人間だった。
理想の御曹司様に愛されれば、何もかも手に入って幸せになれるって思っていた。
でも、現実に現れた御曹司の武久はスーパーダーリンでもなんでもなかった。
武久ってば、口は悪いし、すぐ怒るし、意外に倹約家だもん。
でも、ギラギラ着飾ったハリボテの御曹司よりずっと良い。