御曹司を探してみたら

「食事でもどうだい?」

「行きません」

田辺さんの誘いには二度とのるものですか!!

私は一瞥もくれてやることなく、田辺さんの存在をシカトしてスキャナーを操作した。

そうやってつれない態度をとり続けていた結果、手痛いしっぺ返しをくらうことになる。

「そういえば永輝とはもう寝た?」

田辺さんは人を小バカにしたように、クククと小さく喉を鳴らして笑った。

私は言い返すこともできず、プルプルとチワワのように身体を震わせるしかなかった。

(な……なんてことを聞いてくるんだ、このゲス野郎!!)

今すぐセクハラで訴えてやろうか!!

「その様子だとまだかな?」

「あ、あなたには関係ありませんから!!」

確かに一緒のベッドで寝るようになっても、武久は一向に私に手を出そうとしてこない。

よりにもよって田辺さんに言い当てられるなんて屈辱以外の何物でもない。

「なるほど。永輝は本命には奥手になるタイプか……」

「もうっ!!仕事の邪魔をしないでくれませんか!!」

腹立ち紛れにスキャナーの蓋を乱暴に閉じラフ画を回収すると、デスクに戻ろうと田辺さんの脇をすり抜ける。

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