御曹司を探してみたら
14.デートに行こう!
「つーかーれーた……!!」
仕事を終えマンションに到着するなり、メイクで汚れるのも構わずソファにボスンと沈みこむ。
毎日なけなしの頭脳をフル回転させているせいか、疲労は既にピークに達している。
(くっそう……。あの野郎……)
口だけのゲス野郎かと思ったら、仕事に関しては一切手を抜かない鬼そのものだった。
“リテイク”
“はい、ボツ”
“センスなさすぎ”
田辺さんの輝かしい経歴は伊達ではなく、提出した案はどれひとつとしてまともに見てもらえなかった。
顧客の要望はひとつ。
新設するスタジアムを街の新しいランドマークにすること。
誰もが一発であのスタジアムだ!!とわかる、特長的なデザインを希望している。
田辺さんの現行の設計の良い所を損なわず、かつ顧客のニーズに応えなきゃいけない。
最終プレゼンは2か月後。
期限は刻一刻と迫っているというのに私ときたら……完全に壁にぶち当たっていた。