御曹司を探してみたら

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土曜日当日は前日の天気予報通り、雲ひとつなく晴れた空が広がっていた。

私は荷解きが終わってなかったダンボールからありったけの洋服を引っ張り出し悩んでいた。

(なんてっこった……)

初デートだというのに、着ていく服が一向に決まらない。

ミディ丈のフレアスカート。

フェミニンなブラウス。

シルエットが綺麗なセットアップ。

そのどれもがデートに相応しいと思えなくて、考えれば考えるほどドツボにはまっていく。

かくなる上は運を天に任せるのみである。

私は目を瞑り、えいや!!という掛け声と一緒に最初に掴んだ洋服を着ていくことにした。

幸い、割とカジュアルな紺のワンピースを掴んだおかげで、その他のコーディネートはサクサク決まった。

(なんでこんなに苦労しなきゃいけないのよ……)

よーく考えたら一緒に出かける相手は武久だよ?

気合い入れてオシャレなんてする必要なくない?

とか頭では思いつつも髪はゆるふわに巻いちゃうし、お気に入りのピアスだってつけちゃう自分が悔しい。

これが、惚れた弱みってやつか……。

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