御曹司を探してみたら
遊園地までは電車とバスを乗り継いで2時間ほどの距離にある。
早起きを頑張ったおかげで行程は快調で、お昼前には無事に目的地に到着することができた。
「うわあ……すごい……!!」
チケット売り場で招待券をチケットに引き替えて早速入場すると、土曜日というだけあって園内は子供が多いこと、多いこと。
どうやらひとくちに遊園地と言っても観覧車や絶叫マシーンのような派手な乗り物はなく、子ども向けの小さなアトラクションを集めたレトロ感溢れる雰囲気が売りらしい。
まあ、小さめでこじんまりしているとは言っても、初デートというだけで否応がなくテンションは上がってしまうものでして……。
「ねえ!!あれ!!コーヒーカップ乗ろうよ!!」
「おい……。ガキしか並んでねーじゃねえかよ……」
「いいからっ!!」
私はスカして渋る武久の腕を引っ張り、子ども達に混じってコーヒーカップの順番待ちの列に並んだ。
人気の大型遊園地とは違って混雑とは無縁が故に、待ち時間が少ないのも魅力のひとつである。