御曹司を探してみたら

「……なにそれ」

私は開いた口が塞がらず、この間抜け面を全世界に公開してしまった。

あの二重人格陰険野郎に苛められているのか心配するならともかく。

私が田辺さんに色目を使っているんじゃなかろうかと?

っていうか誤魔化し方まで下手くそか!!

怒りのボルテージが瞬時にマックスになって爆発する。

「今更田辺さんとどうこうなろうなんて思うわけないでしょ!!」

私は怒り心頭になってバッグを鞭のようにして武久の身体に叩きつけた。

ホントにバカじゃないの!?

「だーかーらー!!悪かったって言っただろ!?」

武久は腕を盾にして、私の猛攻撃から辛うじて頭を守った。

耐えるばかりで避けようとしないのはせめてもの謝罪の意なのか。

「ざっけんな!!武久のバカ!!」

しこたまバッグを叩きつけても、まだ私の怒りは収まらない。

謝って許されると思ってるの?

あんな風に抱きしめられて、まだ他の男のこと考えられると思ってるの?

誰にでもキスを許す安い女だって思ってるの?

誰のために早起きして着飾ったと思ってるの?

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