御曹司を探してみたら
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マンションに帰るとすっかり日が暮れていて、ベッドには既に夜のとばりが下りていた。
「ぬ、脱がしてくれる……?」
髪を掻き上げて無防備にうなじを晒すと、武久が背中に回りこむ。
滑らかな生地に指を這わせ金具を探り当てる手つきに、ついビクンと反応してしまう。
寝室にはジジっとファスナーが滑り落ちる音しかしない。
「お前……なんて顔してんだよ」
「た、武久のせいでしょ……!!」
素面で武久に服を脱がしてもらう日がやってくるなんて思わなかったんだもん!!
ふいっと横を向いて、真っ赤になった顔を腕で隠す。
恥ずかしいのにもっと触れて欲しいなんて……言えやしない。
そうこうするうちに優しくベッドに押し倒され、頭上には武久しか見えなくなる。
脱げそうになった服を胸元を手で押さえると、のしかかって来た武久がすかさず剥ぎにかかった。
ネイビーのワンピースは夜闇に溶けていて、まるで最初からなにも着ていなかったかのよう。
「嫌なら殴れ」
そう言う間にも、武久は己のシャツのボタンを片手でひとつずつ外していく。
私は恐る恐るシャツの袷から覗く胸板に手を当てて、初めての感触を確かめた。
「いいのか?」
「い、嫌じゃないから困ってる……」
「バーカ」
武久は嬉しそうに笑うと先ほどとは比べ物にならないくらい深いキスをした。
武久ことを何ひとつ知らないって葛藤した日もあったけれど。
この日、女性の扱い方が抜群に上手いということを私はついに知ってしまったのだった。