御曹司を探してみたら
「ったく!!しょうがねえなあ……」
武久は頭上を舞う天使様を蠅のごとく追い払うと、自分の肩に私の腕をひっかけ、よっこいせとおっさんくらい掛け声とともに身体を持ち上げた。
「なんか……久しぶりだね……。こうやってお世話されるのも……」
ずりずりと引きずられながら、ニヘラーとぐにゃぐにゃになって笑うと、ペシンと軽く頭をはたかれる。
「お前、マジで俺の理性に感謝しとけよ?世界広しと言えども、俺ほどの紳士はいないからな?」
「今なら襲われても文句言わないのにー」
「お前なあ……こっちの気も知らないで……」
「じょ、冗談だよ!?」
私が言うのもおかしいけど、無防備な状態で餌が放置されていたのにずっとお預けくらってたようなもんだもんなー。
「ホント、武久が良い奴でよかったなー!!」
「心にもないこと言ってんじゃねーよ!!」
「うぎゃっ!!」
これまでの苦悩が頭をよぎった武久に問答無用で粗雑にベッドに転がされ、私はつぶされたカエルのようなひしゃげた声を出したのだった。