御曹司を探してみたら
「早速、来週から来てくれる?」
採用が決定した私はわーいと万歳で喜んだ。
周防建設を辞めてからはなけなしの貯金で食いつないでいたせいで、カツカツの生活が続いていたのだ。
働けるなんて超助かる!!
出社の日を決めて、事務手続きに必要な2,3の事柄を伝達して、この日の面接は終了となった。
「あのう……今日、武久は?」
就職先が決まった私はそわそわと落ち着かずカルテッドの社内を見回したが、武久の姿はどこにも見当たらなかった。
「昨日、施主への引き渡しが終わったから今頃家で寝てるんじゃないかな?入社祝いにアパートまでの地図も書いてあげるね」
「わー緒方さんってば親切!!」
緒方さんは武久の住まいの住所と地図をメモ帳にさらさらと書くと、二つ折りにして私に渡してくれた。
「その代わり、あとで永輝がどんな反応したか聞かせてよ」
「ふふふ。悪い顔ですね」
ふたりして顔を突き合わせて満面の笑みである。
武久の親友は、悪だくみが大好き。
私ととーっても気が合いそう!!