御曹司を探してみたら

ボタボタと地面に落ちる涙の量はかつての失恋の比ではない。

武久もそのことに気がついて、ようやく怒りを鎮めたようだ。

「俺は……女を慰めるなんて柄じゃねーんだぞ……」

武久ははあっとため息をつくと、私を抱き寄せ涙で濡れた顔をそのままワイシャツに押し付けた。

「ほら、好きなだけ泣けよ」

黙って胸を貸してくれる優しい武久なんてもう一生見られないかもしれない。

「た~け~ひ~さ~!!」

「おい!!鼻水つけんな!!」

「ううっ……!!」

「ったく、しょうがねーなー」

幸いなことにズビッとすすった鼻水をワイシャツで拭ったことは大目に見てもらえたのだった。

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