御曹司を探してみたら
「そんなにショックだったのかよ」
「武久にはきっとわかんないよね……」
武久に女心が理解できるとはこちらだって欠片も思っていない。
っていうか、きっと誰にも理解してもらえない。
平凡な見た目。
平凡な頭脳。
平凡な出生。
これといった取柄もない私にとって、御曹司サマは最後の希望だった。
もし本当に少女マンガに出てくるような理想の御曹司サマが実在するなら、容姿や、家柄といった表面的なものに惑わされず、私にしかない魅力を見つけて愛してくれるかもしれない。
……それは本当に夢みたいな心地なんだろうな。
「でも、こんな風に玉砕するならもういいかな……。何だか疲れちゃった。もう御曹司サマは当分いいかな……」
どこをどう探しても御曹司を惹きつける魅力のない私には、本物は現れてくれないんだから。
今日一日でそのことを痛感してしまった。