御曹司を探してみたら

『お前に身体の心配をされるようでは私も終わりだな』

『ハッ。そんなこと、これっぽっちも思ってねーだろ』

(ああ、もう!!なんて口の利き方!!)

聞いていて心臓に悪すぎる。

この間助けてもらった時も思ったけど、武久って目上の人に対しても全く物怖じしない。それはそれで、すごいことだけど今は相手を考えなさいよ、武久!!

相手は周防社長なのよ!?下手したらクビよ、クビ!!

あくまで強気の態度を崩そうとしない武久に対し、先に痺れをきらしたのは周防社長の方だった。

『いいか?もう一度聞く。先週の金曜日、クラウンホテルでお前と一緒にいたこの女性は誰だ?』

(ん……?)

クラウンホテル?金曜日?

その単語の意味を理解するとサーッと血の気が引いていくのを感じた。

「わ、……私のこと!?」

「ちょっと、杏!!落ち着いてよ!!」

半狂乱になって叫び出した私をわかっちが諌めようとするが、そう簡単に落ち着けるものではない。

だって先週の金曜日にクラウンホテルで武久と一緒にいたのは私なんだもん!!

肩も抱かれたよっ!!

だって、色々あってまともに立てなかったから!!

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