御曹司を探してみたら

『誰かいるのか……?』

話し声がしたことを訝しんだ周防社長が倉庫の扉を開け放つ。

はい、こんにちはー。

私とわかっちの姿が見えると、武久が苦虫を噛み潰したようなにがーい表情になった。

「このバカが……」

思いっきり小声でなじられると、ごめんと謝りたい気持ちで一杯になった。

周防社長は私の顔と手に持っていた写真の女性を見比べた。

「君がこの写真の相手の女性か……?」

写真はホテルから私と武久が出てきたところを激写したものだった。

髪型もワンピースもあの日と全く同じ。武久の着ていたスーツとも一致している。

もはや言い逃れはできそうもない。

っていうかなんでそんなものが周防社長の手にあるの!?

「君、所属と名前は?」

「意匠設計部の早宮です……」

「まさか、同じ会社の同僚だったとはな。探す手間が省けた」

周防社長はニヤリと意地の悪い笑みを浮かべて言った。

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