御曹司を探してみたら
「まあ、良かったじゃないの?お目当ての御曹司が見つかって」
「良くないよーっ!!」
私は頭を抱えてテーブルに突っ伏し、悶絶してしまった。
大体、武久が周防の御曹司って……灯台下暗しにも程があるでしょ!!
あいつも、もうちょっとそれらしく振舞ってくれたら私だって気が付いたかもしれないのに……。
御曹司なら御曹司らしくしてろよ、武久のバカ野郎!!
田辺さんが御曹司だって勘違いしていた時は、あんなに浮かれた気分でいられたのに、今はその真逆の絶望を味わっている。
「なんだー。武久が御曹司だってわかって、もっと喜ぶかと思ってたのに」
「喜べるかっ!!」
私は芸人のような鋭さで即座に突っ込みを入れると、ぷうっと頬を膨らませた。
この女、別の意味で私と武久の今後の動向に興味津々なことを隠そうともしない。
いくら他人事だからって面白がり過ぎ!!