御曹司を探してみたら
**********
「うう……。飲み過ぎたあ……」
足元はふらふらで、視界はゆらゆらと揺れている。
空を見上げればお星さまがキーラキラ。フフフと急に笑いが込み上げてきて止まらなくなる。
ビールをしこたま飲んだ私は、完全に酔っ払いと化していた。
「おらっ!!しっかり立てや!!」
私とは対照的に武久は素面同然である。
支払いを終え店から出てくると眉間に思い切り皺を寄せながら、私がこけないように腰に腕を回してグッと己の腰元に引き寄せた。
「キャーっ!!武久さんのエッチーッ!!」
遠慮もクソもない手つきをつい冷やかしてしまう。
入浴シーンに定評のある某国民的アニメの女の子みたいに胸の前で腕をクロスさせて、キャッキャしていると、再び経済新聞で思い切りぶん殴られた。
「誰がてめえの貧乳なんか好き好んで揉むか!!わかったら黙って掴まってろ」
酔っ払い特有のテンションの高さに苛立っているのが見て取れる。
「はい……」
これ以上武久を怒らせると、お家まで送ってもらえない。
今捨てていかれたら、明日まともに出社できない!!
私は大人しく武久にしがみついた。
実を言うとひとりではまともに立っていられないほど、頭がフラフラしていたのである。