御曹司を探してみたら
「バカ、監視されてんのは俺じゃねーよ!!」
武久があまりに呆れているから……うっすら嫌な予感がした。
「もしかして……わ、私なの?」
ぞわっと一気に鳥肌が立った。
何で!?いつから!?
予想外の展開に頭がグルグルしてきた。
「あんたのお父さん、一体なんなの!?私に何の恨みがあるわけ!?」
武久のお父さんのことを非難したくはないけれど、息子に近づいた女性に対する仕打ちとしては常軌を逸している。
「……ここじゃまともに話もできないな」
武久の言う通りごみの匂いがするような小汚い場所で、こんなにこみ入った話をするのは適切ではない。
「俺んち来るか?」