御曹司を探してみたら

「遅かったな」

「た~け~ひ~さ!!」

こちらの苦労など知らず能天気に出迎えた武久の首を即座に締めてやりたくなった。

「こんな立派なマンションに住んでるなら先に言っといてよ!!」

超びっくりしたじゃん!!

八つ当たり気味にTシャツの胸倉掴んで、四の五の言う前に前後に揺さぶる。

「まあ、とにかく入れば?」

気が済むまで揺さぶったところで、部屋に入るように促される。

綺麗な玄関で靴を脱ぎスリッパに履き替えると、広々としたリビングルームに案内された。

「すっげ……」

あまりの凄さにトートバッグがずるりと肩から滑り落ちていった。

だだっぴろいリビングには一人暮らしには大きすぎる大画面のテレビとふかふかのソファ。あと、オシャレの代名詞である観葉植物。天井を見上げればオシャレなカフェでしか見たことのないファンがくるくると回っていた。

「本当にここに住んでんの!?」

「まあな」

「一人で?」

「他に誰と住むんだよ?」

男の一人暮らしにしては小綺麗すぎるから言ってみただけです……。

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