暁色のメモリートリップ
【第1章】ハイリスクハイリターン
【沙彩side】
私は今、中学の入学式をしている。それなのに、私は中学生ではない。
どういうことかって?フフフ…。
私は未来(10年後)からやってきた未来人。中学時代、やり残したことをやりに来た。
────告白するために。
そう、私は幼稚園の時から片思いしている、結城 一颯 〈ゆうき いぶき〉に告白するのだ。
私は中2の春、親の都合で転校することになる。その後は、もう一度も…。
私が働いていた研究所では、タイムリープの研究をしていた。その努力がようやく実った。まだ試作品らしく、こっちに戻ることができるのは1年。もしかしたら、縮まることもあるらしい。
私の右腕にある、青白い腕輪。これがタイムリープ装置。使い捨てなので、効果が切れると消えてなくなるらしい。これを作った博士自身、まだよく分からないらしい。何せ、まだ試したこともない……試したことはある。ただ、私たちに話せる体ではなかったからだ。
でもこうして中1をやり直すことが出来た。博士には感謝してもしきれない。
だが、注意することがある。
────歴史を変えてはいけない。
それだけは博士からキツく言われた。もしかしたら、私の存在が無くなる、消えてなくなるかもしれないとのこと。
まさに、ハイリスクハイリターンなタイムリープだ。タイムリープという未知の可能性に、知的好奇心を擽られた。
「私のクラスは…と」
忘れることのない、B組だ。一颯と同じ。ここから私の1年間が始まる。
視界の隅に見覚えのある顔が見えた。
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