服を着て、朝よ来て。
服を着て、朝よ来て。
情事が終わった。

すなわち、“彼との最後”が終わった。

最後と決めたのは私なんだけれども。




さっきまでの事が嘘だったかのように、静けさが戻ったベットの上に寝そべる。

左手の薬指につんとした光をつけ、煙草をすう彼の広い背中を、私は寂しさと切なさと恍惚を入り混ぜてみつめる。

好きな人が出来たとでも言ってみようか。

そうすれば貴方のことだ。きっと父のように、兄のようになって喜んでくれるに違いない。




二年前、彼には守るべきものがあると知っていながら始めた関係。

二年という月日は普遍的な恋愛と比べても、普通に長い。

そう、普通だ。

私たちは普通に恋愛をしてきた。

不倫であっても、普通に恋をしてきた。

私はこれを恋と呼びたい、恋愛と呼びたい。

そんな風に盲目な私の目からは温かいものが溢れ出しそうで、そっと乾きかけの髪の毛で顔を隠す。


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