服を着て、朝よ来て。


「ほんとに愛してるんだよ、俺は。情けないほどに俺は。お前は何も悪くない。悪くないから。」


だめだと思った。

今後ろを振り向けば何かが堰を切ったように溢れてしまう。

こんなにも思われていた、それがこんなにも素直に喜べないなんて。

終わる頃にこんな事を言う貴方は間違いなく罪深い。ずるい人だ。

泣くな私、まだだめよ私、頑張って私。



彼が言う。


「出会ってくれてありがとう。愛していたよ。」


貴方から過去になったその言葉を聞きたくなかった。強がりも何も言えない。


「おやすみ。」


絞り出して、やっと出た言葉だった。


「ああ、おやすみ。」


その言葉と同時に、彼の腕枕と温もりがなくなる、少し振り向くと背を向けて寝る彼がいた。

寂しい、彼の後頭部を見つめながら、口パクで呟く。涙が出た。

愛してる、また口パクで呟く。涙が止まらなかった。

声を殺していたのに、少し声が出てしまった。その瞬間、彼の体がびくっと動いた。

気づいてるくせに気づかないふりをした貴方。

それは優しさなの、拒絶なの。


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