いつも側で君を感じるから。
それは俺も同じだから気持ちはよくわかる。
クラスの奴らや先生にバレたら哀れに思われたり、変な噂が流れるに決まってる。
嫌な思いをするのは家だけでたくさんだ。
でも自分の事ならまだしも、みなみがそんな思いを抱えていたなんて。
どうしたら救えるのか……。
この時改めて、まだ幼い自分の身を恨んだ。
「お父さんね、お酒飲むと昔から暴れる人で…お母さんも止められなくて。でも普段はすごい優しくて殴った事を泣きながら謝ってくれるんだよ?」
みなみが涙ぐみながら話す。
「無理して言わなくていーよ」
「ううん…誰にも言えなかったから…新には聞いてほしい」
「そっか…」
「こんな事されててもお父さんの事嫌いじゃないの……いつかやめてくれるって信じてるから…」
すげーなって思った。
俺はみなみみたいな考え方はできない。
あんな親父を信じることなんて絶対できない。
「絶対無理だけはすんなよ、なんかあったら…俺に言えよ」